人生の哲学

幸福とは何か、どう生きることが幸せなのか、幸福の価値観について科学的な視点から分析していきます。

心に潜む怪物『承認欲求』とは何か

承認欲求という言葉がある。

簡単に一言で説明すると、自分を他者に認めてほしいと思う気持ち・欲求のことである。

これは誰もが持っている当然の欲求であり、承認欲求そのものは必ずしも悪いものではない。

ただし、承認欲求は非常に厄介な側面を持ち、そのコントロールに失敗すると自分にも他人にも牙を剥く怪物となる。

度々、SNSが承認欲求の化物を生み出したという主張を目にすることがあるが、実際は承認欲求のモンスター自体は元々存在していたが、SNSによって顕在化され多くの人の目に触れるようになりに認知されたというのが正解だろう。

どこでも気軽に自身のことを発信できるSNSは自己顕示欲・承認欲求モンスターにとってうってつけのツールだったというわけである。

 

目次

 

心理学における承認欲求
アブラハム・マズローは、人間の基本的欲求を低次から、生理的欲求 (physiological need) 、安全の欲求 (safety need) 、所属と愛の欲求 (social need/love and belonging) 、承認の欲求 (esteem) 、自己実現の欲求 (self actualization) の5段階に分類した。このことから「階層説」とも呼ばれる。

また、「生理的欲求」から「承認の欲求」までの4階層に動機付けられた欲求を「欠乏欲求」 (deficiency needs) とする。生理的欲求を除き、これらの欲求が満たされないとき、人は不安や緊張を感じる。

「自己実現の欲求」に動機付けられた欲求を「成長欲求」としている。

中でも承認欲求とは、自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求である。

尊重のレベルには二つある。低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができる。マズローは、この低い尊重のレベルにとどまり続けることは危険だとしている。高いレベルの尊重欲求は、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされ、他人からの評価よりも、自分自身の評価が重視される。この欲求が妨害されると、劣等感や無力感などの感情が生じる。

 Wikipediaより

 

承認欲求の強い人ってどんな人?

強過ぎる承認欲求は肥大化した自己愛や何かしらのコンプレックスが原因になっている場合が多く、それを解消する手段として周囲や世間におかしな自己アピールをしてしまうことがある。そうした理由から物事を大げさに話したり虚言癖が多いことも承認欲求の強い人の特徴だ。

他者を介してしか自分の価値・存在を認識できないため、常に周囲に依存している。

 

ここではSNS上でよく見かけるタイプを紹介する。

 

嘘松さん・イキリオタク

twitter等でよく見られる嘘松さんやイキリオタクと呼ばれる人種に多いのが、肥大化した自己顕示欲を抑えきれずに妄想・架空の話をでっち上げてしまうことだ。

オタクだった学生時代の暗い青春に強いコンプレックスを感じている場合が多い。

 

イキリオタクに見られる代表的なツイート

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どう見てもただの危ない奴だが、本人的には「俺ってパッと見オタクだけど、こんなワルなところあるんだぜ?」ということのようだ。

根本的にオタク気質なのでリアルな不良感が出せず、傍から見てただの異常者になってしまっているところが痛々しい。

もしかすると野生動物における警告色のようなのかもしれない。

過去に自分を虐げてきたヤンキー・DQNといった人種を嫌悪しつつも自分もそうなりたいという欲求を隠せずにいるので、「○○君って昔不良だった?ワルそうだよね」と言うと「やっぱ、そう見える?」と目を輝かせて答えることだろう。

 

嘘松と呼ばれる代表的なツイート

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主に腐女子と呼ばれる女性が好みそうなシュチュエーションが多い。

見ての通り状況が現実離れしすぎておりどう見ても虚言なのだが、本人はあくまでも実際に起きた出来事だと言い張ることも多い。

嘘松さんの妄想ツイートは意外と数万リツイートされていることもあり中々闇が深い。

 

SNSにイケてる自分の写真をアップ

ブスでゴメンと言いつつ最高に可愛い私を見てと言わんばかりに自撮りをアップする女性やインスタグラムに海外の風景を背景にワンピース姿で麦わら帽子を手で抑えている女性の後ろ姿を見たことがないだろうか。

最近では一部でインスタバエと呼ばれているらしい。

ナルシストや見栄っ張りに見えたりセレブに憧れ背伸びをしている姿が滑稽に見えることから、ネット上では何かと批判されがちではあるが、特に実害は無くこの中では比較的健全なタイプの承認欲求の発散方法だと言えるだろう。

本人自身もある程度自覚がある場合も多く、病的でない場合は特に問題にする必要はない。

 

ここからは少し厄介なタイプを紹介する。

 

意識高い系人脈アピール

自己愛が非常に強く、常に自分が話題の中心であり注目されていないと気が済まない。自分の周りの人間は自分を引き立てる為のただのNPCだと考えており深い人間関係を築けないことが多い。基本的に自分が大好きなので一見他者への善意に見える行動にも打算が見え隠れする。

tehu氏や椎木里佳さんをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれない。

 

よく見られる特徴

・エゴサーチを頻繁に行い常に自分の評判を気にしている。

・自分を肯定する人物以外とは人間関係を築けないので周りはイエスマンと信者だらけになる。

・自分の実績を過剰にアピールし、時には架空の第三者をでっち上げてまで自分を称賛することもある。

・謙虚さに欠け自分を選ばれし者だと思っているので他人を見下しがち。それを隠そうともしないので周囲の反感を買う。

・「知り合いの知り合いがジョブス」人脈を過剰にアピールし著名人を何でも知り合いにしてしまう。

・等身大の自分を認めることが出来ず、自身の能力を過大に評価しているため、理想に現実が追いつかず常にそのギャップにイライラしており周囲に対して攻撃的であることが多い。

これらの特徴を持つ人の中には自己愛性人格障害や演技性人格障害である場合も多い。

 

ミュンヒハウゼン症候群の傾向あり

いわゆる悲劇のヒロインを演じるタイプ。

上述した嘘松さんやイキリオタクの虚言癖は傍から見てて痛いだけで実害はそれほど多くないが、被害者を演じるタイプの虚言癖は非常に厄介である。

同情を買うためや理不尽に立ち向かう自分を演じる為に実際には存在していない被害を報告するといった事例が存在する。

嘘の被害を訴えたものの大事になり引っ込みがつかなくなってしまい警察が動いた後で虚偽が発覚し刑事告訴される場合もある。

実際にあった酷い例だと子供を必死に看病する良い母親を演じる為に入院した自分の子供の点滴に汚水を入れ様体を悪化させ逮捕された事例がある。

重症の場合は、ミュンヒハウゼン症候群等の精神疾患と診断される。

#me too が日本でイマイチ盛り上がらなかったのは、一部の人間によって宣伝活動に使われてしまったこともあるが、承認欲求のお化けに目をつけられてしまい、嘘か本当か分からないような嘘散臭いツイートを#me tooタグを付けて発信した人たちが居たことも運動が陳腐化してしまった一因だろう。

承認欲求の化物というのは、それを実現させる手段としてしばしば社会問題や自然災害、事故等を道具として使うことがあるが、本当に困っている当事者にとって迷惑なので止めましょう。

 

道徳的優位を盾に他者を批判する

他者の犯した罪や社会問題等を高い目線で批判する。

社会運動家や言論人・コメンテイター等に多いが、最近ではインターネットの普及により一般人がSNS等で他者に攻撃的な言葉を投げかけるシーンも多く見られる。

本人は正義感からやっている正しい行いと信じているが、その心根と動機は道徳的に優位でないと考えられる他者や社会制度等を批判することで自身の道徳的優位を再確認し他者や社会に対し影響力を行使することで悦に浸ることである。

自身が凡百な他者に比べより高尚な存在であるという確認行為という意味では動物のマウンティングに近いともいえる。

しかし、実のところ批判者が他者を声高に批判できるほど道徳的に優れているわけではないことも多い。

あなたたちの中で
罪を犯したことのない者が
この女に、まず石を投げなさい

 

他人の不幸を使って自己陶酔

他人の不幸をダシに自分に酔うタイプ。

事故で死亡した彼氏へ宛てた痛々しいポエムや大災害時に知人等を心配するツイートを見たことはないだろうか。

http://livedoor.2.blogimg.jp/michaelsan/imgs/c/9/c95440bc.jpg

(長いので外部リンク)

誰もが見れる場所に天国の彼氏に宛てた文章を掲載する必要はあるのだろうか。

ツイッターに呑気に投稿などせず直接知人に連絡すればいいことであるし、それを世間に公表することで事態が好転することもない。

彼らは一見すると他者を思いやる情の深い人間のように思えるが、それらは自らを演出するための道具でしかない。元来は思いやりのある人間などではなく他人から称賛、同情されることを目的に行動しているので誰も見ていない場所では善行を行わないことが多い。

仮に行なった場合は何らかの手段で必ず称賛を求め美談として報告する。

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彼らの関心事は他者ではなく常に自分への称賛なのである。

自分が大好きなので、実際に自分の生命や財産が犠牲になるような善行は行わない。

 

以上、よく見かける代表的な承認欲求モンスターの事例紹介でした。